鷲宮神社
概要
各地に分布する大酉社の総本社とされる関東最古級の神社で、明治初年には准勅祭社に列せられた。
アニメ「らき☆すた」の舞台となったことでファンの聖地として人気を博し、初詣には数十万人を集める。
御祭神 | 天穂日命・武夷鳥命・大己貴命 合祀祭神 健御名方神・伊邪那美神・大山祇神・宇迦之御魂神・大山咋神・天照皇大神・迦具土神・素戔嗚尊・菅原道真公 |
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社格 | 准勅祭社・旧県社・別表神社 |
鎮座地 | 埼玉県久喜市鷲宮1-6-1 |
最寄駅 | 東武鉄道伊勢崎線(スカイツリーライン) 鷲宮駅 |
URL | http://www.washinomiyajinja.or.jp/ |
御由緒
神代の昔、天穂日宮とその御子武夷鳥宮が、昌彦・昌武父子ほか27人の部族等を率いて神崎神社(大己貴命)を奉祀したのに始まり、さらに天穂日宮の御霊徳を崇め、別宮を建てて奉祀したのが創建とされる。
記紀や六国史、延喜式神名帳には当社に言及した記述は見られないものの、縄文時代全期および古墳時代全期の遺跡が発見されており、早くから原始的祭祀が行われていたと推測される。
当地は土師部(土器や埴輪を作る豪族の私有民)の移住地とされ、社号も「土師宮」と称したという。
この「ハジ」が「ワシ」に転訛して「鷲宮」になったとの社伝がある。
なお創建については、崇神天皇の御代(BC97~30年)に、河内国から東国へ移住した土師氏が祖神を祀ったとの別説がある。
崇神天皇の御世には太田々根子命が司祭し、豊城入彦命、彦狭島命、御諸別王が、それぞれ幣帛を奉納した。
景行天皇の御世(71~130年)には、日本武尊が社殿の造営をし、併せて相殿に武夷鳥命を奉祀した。
桓武天皇の御世(781~806年)には、征夷大将軍坂上田村麿が、武運長久を祈り奥州鷲の巣に当社の御分社を奉祀した。
中世以降は関東の総社また関東鎮護の神として武将の崇敬が篤く、著名な武将だけでも藤原秀郷・源義家・源頼朝・源義経・北条時頼・北条貞時・新田義貞・小山義政・足利氏歴代・関東管領上杉氏歴代・武田信玄・織田信長・豊臣秀吉等が挙げられ、武運長久等を祈る幣帛の奉納や神領の寄進、社殿の造営等がなされた。
なかでも下野国小山城主・小山義政は1372(応安5)年に社殿を再興したほか、1376(永和2)年に銘備中国住人吉次の太刀を奉納しており、この太刀は1914(大正3)年に国指定重要文化財とされた。
降って1581(天正19)年、徳川家康により四百石の寄進があり、代々の将軍の名で朱印状が残されている。
明治維新後、神祗官により准勅祭社に定められ、勅使参向のもと幣帛の奉納がなされた。
しかし、准勅祭社制度は1870(明治3)年で廃止され、1873(明治6)年に県社の指定を受けている。
なお、当社は2007(平成19)年にテレビアニメ化された人気漫画作品「らき☆すた」の舞台となり、放送の翌年から初詣の参拝客がそれまでの9万人から3倍以上の30万人に達した。
以降も増え続け、放送から7年後の2014(平成26)年には47万人を数え、現在でも同様に推移し衰えをみせていない。
境内紹介
東武伊勢崎線の鷲宮駅からのアクセスは徒歩で10分圏内。
駅東口を出て、そのまま北に伸びる道を進む。
「鷲宮駅入口」交差点の信号で左折すると、約200m先に大鳥居が見える。
途中に立つ社号標付近に以前は一の鳥居があり、現在の大鳥居がかつて二の鳥居だった。
1899(明治32)年建立の大鳥居は、退色が進んでいるものの偉容を誇る。
大きな笠木の反りも見事な明神型の立ち姿と存在感には魅了される。
そばの社号標は徳富蘇峰の揮毫による。
境内参道には1852(嘉永5)年造の狛犬、1829(文政12)年の青銅製灯籠などが並ぶ。
当時の石工・鋳工による表現性や造形技術の高さを示す文化財だ。
手水舎の脇には御神水の取水処も設けられているが「渇水のため使用禁止」とある。
季節的な要因なのか、涸渇したのかは未確認。
神楽殿は1821(文政4)年造営。
社殿に対面した配置には、祭神に見せるための意図が読み取れる。
当社に伝わり、ここで演舞される土師一流催場神楽は国指定重要無形民俗文化財となっている。
創始の時期は明らかではないが、関東神楽の源流といわれ、鎌倉時代の史書「吾妻鏡」に1251(建長3)年4月に神楽が行われたことが記述されている。
一時祭祀が廃れたため、宝永・享保期に大宮司・藤原国久が再興すべく、元は三十六座の曲目を現在の十二座に再編成したとされる。
大社の風格漂う社殿は、幕末の1857(安政4)年に造営された。
拝殿一棟に対して本殿が二棟が建つ。
向かって左側が神埼神社(大己貴命)、右が鷲宮神社(天穂日命・武夷鳥命)。
なお、神崎神社本殿については1860(安政7~万延元)年の造営とする資料もある。
この時期に数年をかけて造替がなされ、竣工が違ったということか。
境内社
境内には末社が数多く存在する。
参道の左手崖下には光天之池。
かつて龍神が住まう神池が存在したが、長らくの間に流入した土砂が堆積して埋ずもれていた。
1999(平成11)年、復元工事を行ったところ、池から湧水が噴き出し、龍のような雲が空を覆ったという。
池の畔には御池社が祀られており、鳥居から遥拝する形式。
このそばには久伊豆神社(大己貴命)も鎮座している。
神楽殿近くには姫宮神社(活玉依姫命)。
姫宮神社から右手やや奥に八幡神社(応神天皇)の石鳥居が建つ。
境内のちょうど真西には鹿島神社(武甕槌神)と稲荷神社(倉稲魂神)、神明神社に至る参道がある。
深い社叢の奥に佇む神明神社(天照皇大神)は、静かに威厳を放つ。
社地の北側を周回するようにして社殿裏手に出ると諏訪神社(建御名方神)、その左手に粟島神社。
粟島神社には以下の神社が合祀されている。
衢神社(授田毘古神)
武内神社(武内宿禰)
粟神社(天太玉命)
稲荷神社(豊宇気毘売神・大年神・天種子命)
浅間神社(木花開耶姫神)
竃殿神社(奥津日子命・奥津比売命・軻遇突智命)
胸肩神社(湍津姫命・市杵島姫命・田心姫命)
軍神社(八千矛神)
御室神社(大己貴命)
日枝神社(大山咋神)
境内中央の八坂神社(素戔嗚尊)は、幕末まで天王社だった。
左手やや後方の神輿庫に収められている千貫神輿は、7月の第3・第4日曜日に行われる「八坂祭」で巡行されるほか、9月初週末に開催される「土師祭」で担がれる。
「八坂祭」「土師祭」とも鷲宮神社の正式な祭事ではなく、地域住民等が主催する行事である。
御朱印・御朱印帳
御朱印
鷲宮神社の御朱印は、神楽殿向かって左手の社務所(授与所)にてお願いできる。
初穂料300円。
御朱印帳
鷲宮神社の御朱印帳は、現在二種類が頒布されている。
汎用柄で裏表紙に社号が箔押しされたタイプは初穂料1,500円。
オリジナルは金地に勾玉や神紋などがデザインされている。
サイズは大判で初穂料2,000円。
いずれも初回の御朱印分が含まれる。
旧御朱印帳は紫地に金の御紋があしらわれていた。
鷲宮神社の地図
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