三峯神社
概要
日本武尊が東征した際に創建したとされる古社。
修験道の霊山として御眷属信仰を広め、秩父神社・寶登山神社とともに秩父三社のひとつに数えられる。
御祭神 | 主祭神 伊弉諾尊・伊弉册尊 相殿神 天之御中主神・高御産巣日神・神産巣日神・天照大神 |
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社格 | 旧県社・別表神社 |
鎮座地 | 埼玉県秩父市三峰298-1 |
最寄駅 | 秩父鉄道秩父本線 三峰口駅 西武鉄道西武秩父線 西武秩父駅 |
URL | http://www.mitsuminejinja.or.jp/ |
御由緒
景行天皇の御代、日本武尊は東征の折、甲斐国から上野国を経由し碓氷峠へ向かう道中、伊弉諾尊・伊弉册尊の国造りを偲び山中に創建したのが創始とされる。
景行天皇は東国巡行の際、上総国で白岩山・妙法山・雲取山の三山を「三峯山」と名付け当社に「三峯宮」の社号を授けたという。
文武天皇の御代には修験道の開祖・役小角が修行したと伝えられ、この後徐々に仏教色を色濃くしていく。
鎌倉期には畠山重忠、新田義興らが篤く崇敬したが、1352(正平7)年に新田義興が足利勢との戦に敗れ敗走、当山に潜伏したことから足利氏の怒りを買い、社領が奪われ一時荒廃する。
1502(文亀2)年、修験者・月観道満により社殿・堂宇が再興され、以後は天台修験の関東総本山「観音院高雲寺」と称し隆盛した。
江戸時代には、徳川将軍家ほか武家の崇敬篤く、1661(寛文元)年には現在の本殿が造営されている。
一時再び荒廃した時期を経て、1720(享保5)年に日光法印が山主となり復興する。
秩父の山中に棲息する狼を、猪などの害獣から農作物を守る眷族・神使とし「お犬様」として崇めるようになるのもこの時代からで、この狼が諸難除・火難除・盗難除の神と解釈され関東・東北中心に三峯講が各地で組織され、当社より狼の護符を受ける「御眷属信仰」が流行した。
1869(明治2)年の神仏分離令により寺院を廃し「三峯神社」と社号を改称し、1883(明治16)年に県社に列した。
戦後は神社本庁の別表神社指定となっている。
境内紹介
一応最寄り駅は掲載したが、標高1102メートルの山中であり、アクセスは各駅発のバスを利用するか車ということになる。
駐車場から社頭へ至る坂が見た目よりもハード。頑張って登りきったところに全国的にも珍しい三ツ鳥居(三輪鳥居)が建つ。
眷属の狼もさっそくお出迎え。
境内各所に多数の狼像があるが、いずれもまるで生きているかの如く個性豊かな表情を見せてくれる。
鳥居から参道をしばらく進むと1792(寛政4)年造営の巨大な随身門がそびえ立っているのが見えて来る。
この付近からは日本武尊像や奥宮遥拝殿が近いが画像は後ほど。
下界の蒸し暑さを忘れる、爽やかな空気の流れを感じつつ林道を抜けると、いよいよ社殿前に至る石段である。
割と急なのだが、不思議なことに全くもって辛くない。
登り切ると1845(弘化2)年造の青銅鳥居、その右脇の1857(安政4)年に建立された八棟灯籠は大型の木製灯籠で大変珍しいそうだ。
反対の左脇には1853(嘉永6)年建立の水舎。極彩色に彩られた繊細な彫刻は社殿同様である。
社殿前には畠山重忠が奉納したとされる御神木の大杉。
三峯神社 拝殿は1800(寛政12)年造営。正面扁額は有栖川宮一品親王殿下の御染筆。
その彫刻と彩りには正直心を奪われ、ずっと眺めていたくなるほど美しい。
そしてこれが2012(平成24)年、拝殿前の石畳に浮かび上がったという龍のお顔。
よく見れば…などといういい加減なものではなく、確かに龍である。
本殿は1661(寛文元)年造営。埼玉県の指定文化財となっている。
拝殿同様、気高さと品を強く感じさせ、目にした瞬間しばし釘付けとなる。
境内社
さて御社殿を後にして右手に向かうと、なんと20以上の摂末社が直線に並ぶ荘厳な風景が。
社殿側から順に紹介していく。(カッコ内は御祭神)
まずは祖霊社(開山以来の歴史の祖霊、勤山者、氏子総代又各地の三峯講社関係者や講元、世話人)、隣が国常立神社(国常立尊・瓊瓊杵尊・神倭岩余彦尊)、日本武神社(日本武尊)、伊勢神宮(天照皇大御神・豊受姫大神)と続く。
16の小祠28柱の神々がずらり。
月讀神社(月夜見命)、猿田彦神社(猿田彦命・天宇受賣命)、
塞神社(八衢彦神・八衢姫神・久那斗神)、鎮火神社(火産靈命・水速女命・埴山姫命)
厳島神社(市杵嶋姫命)、杵築神社(大国主命・事代主命)
琴平神社(大物主命・崇徳天皇)、屋船神社(屋船豊受姫命)、稲荷神社(宇迦御靈命)
浅間神社(木花開耶姫命)、菅原神社(菅原道眞)、諏訪神社(武御名方命)
金鑽神社(天照皇大御神・素盞嗚神・日本武命)、安房神社(天太玉神)
御井神社(水速女命)、祓戸神社(瀬織津姫命・速開都姫命・氣吹戸主命・速佐須良姫命)
そして、東照宮(徳川家康)である。
東照宮の左脇に更に4社、春日神社(武甕槌命・天兒屋根命・齋主命・比賣神)、
八幡宮(誉田別命・息長帶姫命・比賣神)、秩父神社(八意思兼命・知知夫彦神)、
この摂末社群のトリを務めるのは山の神、大山祇神社(大山祇命)。
この列の先を更に進むと、当社を創建した日本武尊の巨大な銅像。手がデカイ。
画像にも写っているのだが、この指先に留まった小さな白い鳥が心地よいさえずりを聞かせてくれており、何故か有難い気持ちになる。
そしてここから遥拝殿へ。
石段の先に青銅鳥居のシルエットが浮かび、光が溢れる。
上までたどり着けば、眼前に奥秩父の絶景が広がる。
常に清浄で心地よい風が奥宮方向から流れ続けており、それに包まれると非常に充ち足りた気持ちになる。
遥拝殿の右脇から崖の際を伝う細い古道がある。
その先には巨岩の一部をくり抜いて小祠が収められた末社・二ツ宮が祀られている。
由緒は不明だが、三峯神社創建の頃、あるいはそれ以前から鎮座していたとみられる非常に古い神社だ。
現在祭神となっている大山祇命は後付けで、つまりは三峰の「山ノ神」を祀った磐座なのだろう。
ちなみに神社側がこの社を境内案内に載せていないのは、崖際で参拝するのに危険を伴うためである。
さて、社殿左手にもすばらしい場所が存在する。
宿泊所の興雲閣や小教院のそばを抜け、「えんむすびの木」を過ぎた先に「御仮屋神社」が鎮座する。
御眷属、大口真神(お犬さま)の社である。
ほとんど立ち寄る人も無く、深い森に抱かれながらひたすら心静かに祈りを捧げられる。
伺う前には、もっと厳粛な空気に包まれているのを想像していた。
御仮屋などはそういう社だが、三峯全体は奥宮から遥拝殿を通り流れ来る気が、爽やかな風となり境内を巡っている素晴らしい神域だ。
御朱印・御朱印帳
御朱印
三峯神社の御朱印は3種類あり、御朱印帳に書いて頂けるものは初穂料300円。
ほか、社紋にもなっている菖蒲、ご眷属のお犬様が描かれた書き置き形式二種類が初穂料各500円。
なお、面白いのが御朱印帳と御朱印を合わせていただくと、最初の二枚分を空けて書かれる。
授与の際にご説明があり、開けた二箇所にはぜひ伊勢の内宮と外宮の御朱印を賜るようにとのこと。
社殿左手の授与所の中央付近に専用の窓口があるので、そちらに申し出る。
御朱印帳
三峯神社 御朱印帳。初穂料1,500円。
境内に咲く草花が配置された風流なデザイン。
三峯神社奥宮・御朱印
妙法ヶ岳に鎮座する奥宮と御朱印については次ページで紹介する。
三峯神社の地図
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