葛西神社

2016年11月7日

葛西神社
御祭神:経津主尊・日本武尊・徳川家康命
社格:旧郷社
所在地:東京都葛飾区東金町6-10-5
最寄駅:JR常磐線 金町駅
京成金町線 京成金町駅
URL:http://kasaijinjya.world.coocan.jp/
御由緒:平安時代末期の1185(元暦2)年、領主であった葛西三郎清重の篤信により葛西三十三郷(現葛飾区・江戸川区全域、墨田区・江東区・足立区の一部)の総鎮守として下総国・香取神宮の分霊を勧請し創建された。
当地金町は葛西御厨の神域にあり、小鮎(のちに小合)・猿俣(猿股・猿ケ又とも、のちに猿町)・飯塚の三郷とともに古来21年ごとに行われた香取神宮宝殿造営の賦役を務めた地域で、その縁は深い。
また、伊勢神宮の禰宜で御厨に在住し、伊勢・香取両神宮の御神税並びに御社殿造営の所役をつかさどった領家口入職の占部氏は、往還の人馬から関銭等も徴収し神宮の用途に充当していたことが判っている。
降って1590(天正18)年4月、豊臣秀吉から朱印地10石を附せられた。
同年8月江戸に入府した徳川家康は当社に古くから伝わる操り人形芝居の神事を上覧、1591(天正19)年11月に朱印地10石を下賜した。
江戸時代中期に当社神官であった能勢環が創作した祭り囃子「葛西囃子」は、 現在の東京都およびその周辺の祭り囃子の起源といわれる。
起源については文献が残されておらず明らかではないものの、一説によれば享保年間(1716~1735年)の初め、敬神の和歌に合わせて音律を工夫創作しこれを和歌ばやしと名づけ村内の若者に教えたのが起こりとされ、関東郡代・伊奈忠逵が奨励し代表者を神田祭に参加させるなどした。
これにより普及が進み、三輪囃子、松江囃子、三浦囃子、深川囃子、本所囃子、住吉囃子といった流派が生まれ、さらに江戸市中に広まり後に神田囃子、目黒囃子などに派生している。
明治維新を迎え、神仏分離令によって別当寺・吉祥院(廃寺)と分離、1872(明治5)年には村社に定められた。
香取宮、香取社などと称されていた社号を香取神社に改称、別当十三世秀赦は香山範英と改名し服飾、当社祠掌となった。
1875(明治8)年には郷社に昇格された後、1881(明治14)年12月奉斎者である葛西三郎清重の事績に鑑み、葛西神社と改称した。
大正の初年、葛飾橋の北側・大向地区に鎮座していた大鳥神社を合祀しており「金町のおとりさま」として、毎年11月には酉の市が開催される。
葛西神社 道標葛西神社 龍神使姫祠
葛西神社 社号標葛西神社 参道
JRと京成とも、金町駅から東に向かう。
都道307号線と常磐線の高架橋が交差する付近に「東金町3丁目歩道橋」があるが、その東側階段そばから斜めに入る路地を進む。
数十m先に自販機が並ぶ店舗があり、その脇に社号標が立つ。
余談だが、商店の脇には「龍神使姫」と刻まれた石祠がひっそり祀られている。
祭神の詳細や由緒は不明だが、場所柄から推測すれば水神信仰の一種であろうか。
葛西神社 一の鳥居葛西神社 手水舎
葛西神社 二の鳥居葛西神社 神楽殿
住宅に囲まれた細い参道の先に鳥居がのぞく。
一の鳥居は1854(嘉永7)年に造立された明神鳥居。
境内には大樹が幾本もそびえ、そばを流れる江戸川がもたらす豊かな水の恵みを感じさせる。
葛西神社 宝暦13年石造鳥居(葛飾区登録有形文化財)葛西神社 元禄10年手水鉢
葛西神社 宝永3年狛犬 (1)葛西神社 宝永3年狛犬 (2)
神楽殿裏手の片隅には1763(宝暦13)年の石鳥居(葛飾区登録有形文化財)の他、1697(元禄10)年銘の手水鉢、1706(宝永3)年造の狛犬など古い石造物が集められている。
葛西神社 狛犬 吽葛西神社 狛犬 阿
葛西神社 宝物殿(旧社殿)葛西神社 境内
葛西神社 拝殿葛西神社 本殿
旧社殿は1681(天和元)年に造営され、1753(宝暦3)年・1829(文政12)年・1885(明治18)年10月の改築を経て移築、宝物殿に改修された。
権現造の現社殿は1964(昭和39)年12月に造営された。
2010(平成22)年、社務所の改築など境内整備と併せ修復がなされている。
葛西神社 祓所葛西神社 葛西金町富士
葛西神社 富士社 石碑葛西神社 富士社 冨士大神石祠
境内摂末社は12社。
社殿右手の祓所は祓戸四柱神(瀬織津比咩・速開津比咩・気吹戸主・速佐須良比咩)を祀る。
手水を使った後、こちらで穢れを祓い各社へ参拝を。
祓所の奥に富士社(木花咲耶姫神)。
1911(明治44)年に再建された富士塚「葛西金町富士」の山頂に祀られている。
葛西神社 三峯神社 社号碑葛西神社 三峯神社 祠
葛西神社 鍾馗石像(葛飾区指定有形民俗文化財)葛西神社 勝海舟揮毫社号碑
三峯神社(日本武尊)と1698(元禄8)年造立の鍾馗石像。
石像の鍾馗像は珍しく、葛飾区指定有形民俗文化財となっている。
鍾馗像のそばには勝海舟の揮毫による香取神社の社号碑。
葛西神社 葛西天神社葛西神社 稲荷社
葛西神社 諏訪神社葛西神社 神明社
葛西天神社(菅原道真命)と稲荷社(倉稲魂神)、1858(安政5)年創建の諏訪神社(建御名方神)、1990(平成2)年再建の神明社(天照大御神)。
ここまではすべて境内東側に鎮座。
葛西神社 金町招魂神社葛西神社 金町招魂神社 社殿
境内西側の一角には金町招魂神社が祀られている。
金町遺族会を中心として1954(昭和29)年に創建された。
大東亜戦争に出征した二百有余の御魂が祭神である。
葛西神社 両部鳥居葛西神社 福神殿
手水舎の奥にも境内社が。
両部鳥居のそばの福神殿では七福神を祀っている。
葛西神社 辨財天祠葛西神社 厳島神社(金町弁天社)
厳島神社(市杵嶋姫神)は金町弁天社とも称される。
元禄年間に武蔵国瀬崎の里(現・埼玉県八潮市)に創建されたのち、当社に遷座されたという。
その脇には「辨財天」と刻まれた比較的新しい小石祠もある。
葛西神社 神橋葛西神社 道祖神・水神宮
弁天池に架けられた神橋のたもとには2社。
道祖神社(猿田彦神)は1700(元禄13)年の創建。
水神宮(罔象女神)は1839(天保8)年創建の後、1903(明治36)年再建。
江戸川の氾濫による水害除けを祈願するため祀られた。

葛西神社 御朱印
葛西神社 御朱印。初穂料300円。
社殿向かって左手の授与所にて受けられる。