武蔵一宮氷川神社(大宮)

2014年4月30日

概要

荒川流域を中心に二百数十社ある氷川神社の総本社。
延喜式内名神大社であり、戦前は官幣大社に列せられていた。
勅祭社であり、天皇が行う年頭祭祀「四方拝」で遥拝される。

御祭神 須佐之男命・奇稲田姫命・大己貴命
社格 延喜式内名神大社・武蔵国一之宮・勅祭社・旧官幣大社・別表神社
鎮座地 埼玉県さいたま市大宮区高鼻町1-407
最寄駅 JR京浜東北線・高崎線・東北本線 大宮駅
東武鉄道野田線(アーバンパークライン) 北大宮駅
URL http://musashiichinomiya-hikawa.or.jp/

御由緒

紀元前473(孝昭天皇3)年4月の創建とされ、日本武尊が東征の際に東夷鎮定の祈願をしたとも伝えられる。
成務天皇の御代(130~190年)の代に出雲族の兄多毛比命が武蔵国造となり当社を奉崇し、出雲国斐伊川の名より氷川神社と称するようになった。
なお摂社に門客人神社があり、元は荒脛巾(アラハバキ神社と称され、アラハバキが「客人神」として祀られている。
アラハバキは氷川神社の地主神であり、先住神がアラハバキと推測されている。
また、社地は元々見沼というかつて存在した広大な沼のほとりにあり、水神・龍神を祀っていたという説もある。
聖武天皇の御代(724~749年)より氷川神社が武蔵国一宮に定められたといわれ、927(延長5)年に編纂された延喜式神名帳には名神大社として記載されている。
朝廷から武士中心の社会となってからも、鎌倉、足利、徳川といった歴代の各将軍家等からも篤く崇敬を受けており、1180(治承4)年には源頼朝が土肥次郎実平に命じ社殿再建のうえ社領3000貫を寄進、1197(建久8)年には神馬神剣を奉納した。
また、徳川家康は1591(天正19)年に社領100石の朱印地を寄進したほか、1596(文禄5)年8月に伊奈備前守忠次を奉行として社頭を造営した。
1667(寛文7)年3月には徳川家綱が、阿部豊後守忠秋を奉行として社頭の整備・社殿の造営を行っている。
明治維新により東京へ遷都する際に武蔵国鎮守社・勅祭社と定められ、明治天皇は1868(明治元)年10月28日と1870(明治3)年11月1日の二度、御親祭あらせられた。
その後1871(明治4)年5月14日には官幣大社に列格した。
社殿は1882(明治15)年に社殿を改造し男体社、女体社、簸王子社の三社に別れていた社殿のうち、女体社および簸王子社を廃し、男体社に三神を祀るように改められた。
1940(昭和15)年国費による大造営が行われ、たびたび修繕を施されながら現存している。

境内紹介




境内への最寄り駅は各線大宮駅か東武線北大宮駅。
しかし表参道の入口へはJRさいたま新都心駅のほうが近い。
新都心駅東口から県道164号(旧中山道)を450mほど北上すると、左手に分岐し表参道に続く。
一の鳥居から2km、直線の参道では日本一の距離とされる参道の途中には、兼務社の楢姫稲荷神社、末社の天満神社などが鎮座している。
JR大宮駅からのアクセスであれば、東口を出て駅前通りを進み、二の鳥居付近から参道に入る。


三の鳥居から境内へ入ると、左手に「戦艦武蔵の碑」がある。
武蔵の艦内神社「武蔵神社」は当社の分霊を勧請していたことから、2015(平成27)年に建立された。
一方、右手には神楽殿と額殿がある。


神池は江戸中期まであった見沼の名残。
そこに架かる神橋、その奥に大社の風格漂う楼門がそびえる。
荘厳なこの風景は、思わず感嘆の声が漏れるほど。
神橋からの眺めを堪能したり、撮影する人なども多いポイントだ。


楼門と拝殿の間に舞殿が配置されている。
1932(昭和7)年から8年の歳月をかけ、社殿のほか楼門や舞殿の造営が行われた。
社殿は比較的簡素な装飾であるものの、重厚感に溢れる。
翼殿から本殿周囲の空間、そして背後の深い社叢が神聖な雰囲気を醸し出す。

蛇の池



手水舎の脇から社地の北西側へ通じる細い道がある。
この途中には御神井のほか一般参拝者がお水取りできる御神水がある。
さらに奥へ進むと「蛇の池」と呼ばれる湧泉にたどり着く。
古来より見沼の水源のひとつであり、湧き出た水は今も神池に注ぐ。
この泉があったが故、当地が鎮座地になったと伝えられる。

境内社


東門を出た先には摂社・門客人神社と末社の御嶽神社(大己貴命・少彦名命)が鎮座する。
門客人神社の御祭神は奇稲田姫命の親神である足摩乳命・手摩乳命とされているが、由緒の通り荒脛巾神が関わる。

神橋を渡る手前左には末社の松尾神社(大山咋命)、右手には末社六社の合祀殿。
山祇神社(大山祇命)・石上神社(布都御魂命)・愛宕神社(迦具土命)・雷神社(大雷命)・住吉神社(底筒男命・中筒男命・上筒男命)・神明神社(天照大御神)を祀る。

六社殿の奥には少彦名命を祀る摂社の天津神社。
社殿は旧簸王子宮のもの。

松尾神社の後方、神池に浮かぶ小島には摂社の宗像神社が鎮座する。
御祭神は多起理比売命・市寸島比売命・田寸津比売命の宗像三神。


宗像神社の向かいに末社の稲荷神社(倉稲魂命)。
覆殿内部に本殿が収められている。
傍らに猿田彦大神の小さな祠も。

御朱印・御朱印帳

武蔵一宮氷川神社の御朱印は、楼門内右手の授与所にて受けられる。
初穂料300円。

御朱印帳

武蔵一宮氷川神社の御朱印帳は、楼門と瑞雲柄の二種類。
初穂料1,000円。

武蔵一宮氷川神社の地図