稲荷鬼王神社

2014年9月15日


御祭神:宇賀能御魂命・鬼王権現(月夜見命・大物主命・天手力男命)
社格:旧村社
URL:http://tokyo-jinjacho.or.jp/syoukai/18_shinjuku/18033.html
所在地:東京都新宿区歌舞伎町2-17-5
最寄駅:都営地下鉄大江戸線 東新宿駅
東京メトロ副都心線 東新宿駅
西武新宿線 西武新宿駅
JR山手線 新大久保駅
御由緒:創建は1653(承応2)年。大久保村の鎮守として旧戸塚村諏訪神社境内の福瑳稲荷が勧請されたのが創祀とされる。
1752(宝暦2)年、当地の百姓田中清右衛門は旅先での病気平癒への感謝から、紀州熊野より鬼王権現(月夜見命・大物主命・天手力男命)を勧請するが、1831(天保2)年稲荷神社に合祀され、稲荷鬼王神社となった。
一部メディア等に於いて「鬼を祀る」旨の誤記が散見されるが、上記の通りで鬼が奉斎されている訳ではない。
また、紀州熊野の鬼王権現は現存しておらず、当社は全国唯一「鬼王」の名を残す神社となっている。
この鬼王権現は、湿疹・腫物を初め諸病一切に霊験があるとされている。
豆腐を奉納し、治癒するまで本人もしくは代理の者が豆腐を断ち、当社で授与される「撫で守り」で患部を祈りつつ撫でれば必ず平癒するといわれ、明治初頭まで当社門前の豆腐商数軒が奉納用の豆腐だけで商売が成り立つといわれたほど崇敬を集めたという。
尚、当社には「鬼王様」の御名に因み、節分時に鬼を春の神とみなして『福は内、鬼は内』を唱える特殊神事がある。

最寄り駅は大江戸線・副都心線の東新宿駅。A1出口を出て職安通りを西の百人町方面へ向かうと150m弱で到着。
JR・小田急・京王・西武などの各線新宿駅からも徒歩圏内の歌舞伎町の端部に鎮座する。
この大都会で周囲をビルに囲まれながらも鎮守の威厳を保つ。

拝殿右手に天水琴というものがある。溜めた雨水が少しづつ地中の水琴窟に注がれ、音を奏でる。
これがなんとも風雅な音色である。参拝された際にはぜひ竹筒に耳をあてて見て欲しい。


境内社は二社。表参道の左手に鎮座する三島神社(恵比壽神社)。
山手七福神のひとつとして事代主命(恵比寿様)を祀る。
因みにこちらにも天水琴があるが、拝殿前と違い自分で水を注ぐ形式。
もう一社は社殿左手最奥の浅間神社。御祭神は木花開夜昆賣命。
1894(明治27)年、古くから当地にあった浅間神社が稲荷鬼王神社に合祀されたが、1930(昭和5)年に境内社として再興。
富士山はじめ全国から銘石を取り寄せて境内に富士塚が造成され「西久保の厄除け富士」と称された。
しかし空襲の影響で基盤石が緩んだため縮小・移動を繰り返し、参道を挟んで一合目から四合目、五合目から頂上までと二つに分割された現在の形となった。
この形式について神社側では「参道そのものが富士の御胎内に通ずる」としている。


稲荷鬼王神社の狛犬は二対。参道入口付近に一対、拝殿前に一対。


稲荷鬼王神社にはもうひとつ、紹介すべきものがある。それがこの水鉢(新宿区指定有形文化財)。
この水鉢は文政年間(1818~1829年)に制作され区内にあった旗本・加賀美某の邸内庭園に置かれていたが、1820(文政3)年の頃、毎夜水浴する音が聞こえるため、これを怪しんだ加賀美某はある夜、家宝の名刀・鬼切丸で斬りつけた。
その後、家人に病災が頻繁に起きるようになったため恐怖した加賀美某は、1833(天保4)年になってこの水鉢を鬼切丸と共に当社に寄進したという。

稲荷鬼王神社で拝受可能な御朱印は二種類。稲荷鬼王神社と境内社三島神社の恵比寿神(新宿山ノ手七福神)。
初穂料は各300円。拝殿左手の社務所にて受けられる。
小社ながら見所が非常に多く、また参拝者の絶えない神社である。