成子天神社

2014年9月16日

概要

平安時代前期の延喜3年創建とされる古社。
境内には新宿区内最大規模の富士塚・成子富士や、成子七福神など見所が多い。
豪快な筆運びの御朱印も特徴的。

御祭神 菅原道真公
社格 旧村社
鎮座地 東京都新宿区西新宿8-14-10
最寄駅 東京メトロ丸ノ内線 西新宿駅
都営地下鉄大江戸線 都庁前駅
都営地下鉄新宿線 新宿駅
JR中央・総武線・山手線・埼京線・JR湘南新宿ライン 新宿駅
小田急小田原線 新宿駅
京王電鉄京王線 新宿駅
京王電鉄京王新線 新宿駅
西武鉄道新宿線 西武新宿駅
URL http://www.naruko-t.org

御由緒

創建は平安時代前期の903(延喜3)年。
当時、柏木鳴子の地(現在の西新宿)に大神宮が祀られていた。
菅原道真の訃報を受けた家臣の佐伯斎宮はこれを嘆き、生前菅公が彫った自像を持ち帰り、神社の基礎を定め奉斎したという。
降って1197(建久8)年に源頼朝が、応永年間(1394~1428年)には上杉憲実が、それぞれ社殿を造営したとされる。
江戸時代に入り1661(寛文元)年、それまで鎮座していた柏木村から鳴子村が分村するにあたり、鳴子村の鎮守として現在地に遷座した。
なお、1791(寛政3)年に起きた火災により、それまでの記録や社宝などが焼失しており詳細は不明な部分が多々ある。
明治維新後は北野神社となったが、1894(明治27)年10月に成子神社と改称、1928(昭和3)年に現社号に再度改称した。
1945(昭和20)年5月25日に空襲で被災し社殿が焼失している。
戦後、1966(昭和41)年に鉄筋コンクリート製の社殿を造営し再建、2014(平成26)年には社地の一部を分譲・賃貸マンション用地にした開発計画による社殿その他施設の全面的な再整備が完了した。

境内紹介



西新宿のビル群が並ぶ青梅街道沿いに参道への入口がある。
最寄りの丸ノ内線西新宿駅からは道なりに100mほどでたどり着く近さ。
各線新宿駅からでも徒歩10分程度である。
再整備前の様子は知らないのだが、この都会の中で、境内に至る長い参道が維持されているのは驚きである。
整備直後なのでいささか殺風景だが、植栽が育てばまた景色も変わるのだろう。

成子天神社の狛犬。
再整備で味気ないものに刷新されることがなかったようで、以前のものが残されている。


神門をくぐると中央に御神木の大銀杏がそびえ立つ。
こちらは雌木で雄木は後述する富士塚の麓にある。
境内の左手には神楽殿。
右手には宝物殿があり神輿が2基、間近で拝観できる。
天神様お馴染みの撫で牛もしっかりご鎮座。

現社殿は相当な規模感をもって造営された。
拝殿脇には新宿区指定有形民俗文化財の力石7個も従来通り保存されている。
再整備にあたっては相当の紆余曲折があったようだが、このスケールで整備できたのは、結果として喜ばしいことではなかろうか。
今は若木の樹木達もやがて繁茂して、神社らしい空気を作り出すだろう。
再整備を行った企業体による、もっともらしい言葉を並べた説明等はどうでもいいが、とにもかくにも遷座もせず、廃社もしくは無人の小祠ともならず、これから先もこの神社は存在し続けられるのだ。

境内社



さて、成子天神社には5社の境内社が鎮座する。
境内左手、神楽殿の横には4社。
神楽殿側から大鳥神社(日本武命)、大神宮(天照大神)、鳴子稲荷神社(宇迦御魂命)、水神宮(水波能女命)。
大鳥神社の黒く塗られた社殿は他に見たことがないが、意外といい感じ。

この境内社群の前には三柱鳥居と手動式のポンプ。
おそらく手水用ということなのだろうが、特に説明書きはない。
水神宮の脇には先代?の狛犬一基。
1775(安永4)年造の水鉢とともに置かれている。

成子富士




社殿の左脇を通り、奥へ進むと富士塚(成子富士)と浅間神社が鎮座している。
1920(大正9)年、境内にあった天神山を改造し、新宿区内では最大規模(高さ12m)かつ最後に築造された富士塚である。
麓に浅間神社の里宮があり、そばには木花開耶媛命の像も。
富士塚に当然のごとく登ってみたのだが、さすが最大規模というだけあって、山頂からは中々の眺めを得られる。
ただし、山頂近くの足場がかなり悪く、注意しないと滑落の危険がある。
間違っても革靴やヒールなどで気軽に登るべきではない。

七福神

なお、当社には一社で七福神巡りができるという特徴もある。
元は成子富士の登山道に配置されていたが、現在は参道から浅間神社付近までの各所に石像が点在している。
参道側から順に大黒天・恵比寿・毘沙門天・弁財天・福禄寿・寿老人・布袋和尚となる。

大黒天と恵比寿。

毘沙門天と弁財天。

福禄寿と寿老人。

布袋和尚。

御朱印

成子天神社の御朱印は境内右手の授与所にて受けられる。
対応時間は9~16時で、初穂料300円。
豪快な「天満宮」の文字は非常に味わい深いが、墨が裏移りする可能性が高い。
紙を予め間に挟めておくなどして、それなりに対策しておいたほうが良いだろう。
もう一種の御朱印も、篆書体と象形文字の中間のような独特の文字。
どちらを拝受できるかは、書き手さんのご都合によるが、いずれにしても授かると嬉しくなる御朱印のひとつだ。

限定御朱印

一月限定となる七尊像めぐりの御朱印。
書き置きのみだが、クリアファイル入りなのがありがたい。

成子天神社の地図