志茂熊野神社

2017年2月2日


御祭神:伊邪那岐神・伊邪那美神・事解之男神
社格:旧村社
所在地:東京都北区志茂4-19-1
最寄駅:JR京浜東北線・埼京線・湘南新宿ライン・宇都宮線・高崎線・上野東京ライン 赤羽駅
東京メトロ南北線 志茂駅
URL:http://ak8mans.com/kumano.htm
御由緒:創建については不詳だが、旧別当寺の歸命山西蓮寺(現・志茂4-30-4)の梵鐘に「人皇九十四代華園院御宇 正和壬子年八月先師淳慶阿闍梨従紀州奉勤請 熊野三社権現為當郷鎮守」と刻銘されていた。
これは鎌倉時代後期の1312(正和元)年8月、西蓮寺を開基した淳慶阿闍梨(法印淳慶)が紀州・熊野三社権現を勧請し、下村(現・北区志茂)の鎮守とした、との意である。
当社では古くからその年の厄払と五穀豊穣、悪霊退散を祈願する「白酒祭(オビシャ行事)」が行われている。
大きく「鬼」と書かれた的に弓矢を射る「御歩射」が行われた後、甘酒や御神酒、短冊型の切餅が振舞われる行事で、元々は正月七日の神事だったが、現在は毎年2月7日に斎行される。
「白酒」の名は、かつては荒川から汲み上げた清水を用い、十日あまりかけて村内で醸造後奉納した白酒が振舞われていたことに由来する。
2002(平成14)年4月9日、北区の無形民俗文化財(風俗慣習)に指定されている。


南北線志茂駅2番出口を出てすぐ左手の路地に入り、突き当たりで左折。
そのまま道なりに450mほど進んだ先に鎮座している。
社地の後方に流れる新河岸川は、そばにある岩淵水門付近で隅田川と合流していく。

100mほどの参道途中にある絵馬殿。
明治や大正期などに奉納された大絵馬が掲げられている。
白酒祭の際にはこちらに御歩射の的が置かれる。

御神木は熊野社本来の梛(ナギ)。
伊豆半島付近が北限とされ、この木は伊豆山神社の梛から氏子が育成し献木したもの。
東京の、しかも北端で外植えの梛に出会えるとは想像もしなかった。

拝殿前の狛犬は獅子山の形式。
山の裏側には1922(大正11)年の銘があるが、先代の瑕疵が激しかったため1999(平成11)年9月に狛犬像が置き替えられている。

現社殿は明治百年記念事業として、1968(昭和43)年にRC造で造替された流造。
本殿の真裏は熊野児童遊園になっており、その向こうには岩渕水門の姿が覗く。

境内社は6社。
社殿向かって右手には1822(文政5)年造の旧本殿が移築転用された4社の合殿。
この社殿は北区の台帳登載文化財(有形文化財 建造物)となっている。
祀られているのは阿夫利神社(大山津見神)、浅間神社(木花之佐久夜毘賣神)・大六天神社(淤母陀流神)、十二社神社(速玉之男神)。

社殿向かって左手には梛野原稲荷神社(宇迦之御魂神)と水神宮(弥都波能売神)。
いずれも荒川放水路開削に伴い遷されて来た。
熊野神社と他の末社はすべて南面しているが、水神宮のみ川の方を向く。

熊野神社の白酒祭(オビシャ行事)



2017(平成29年)の白酒祭。
神事式の後、祭りとともに伝わる「白酒節」「白酒の唄」が披露される。
続いて、氏子総代のお二人による御歩射が行われ、さらに神職、地元の名士・関係者らが弓を射る。
行事の後、境内で甘酒・濁り酒の御神酒・切り餅の振る舞いがある。

志茂熊野神社 御朱印。初穂料300円。
当社は赤羽八幡神社が兼務しているが、御朱印は当社境内左手の授与所にて受けられる。