氷川女體神社(武蔵国一之宮)
概要
崇神天皇の御代の創建とされ、大宮の氷川神社とともに武蔵国一之宮を称する。
中山神社を含めた三社は関係が深く、かつて存在した見沼を神沼としたひとつの神社であったという説がある。
御祭神 | 奇稲田姫尊 配祀神 三穂津姫尊・大己貴尊 |
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社格 | 武蔵国一之宮・旧郷社・延喜式内社(論社) |
鎮座地 | 埼玉県さいたま市緑区宮本2-17-1 |
最寄駅 | JR武蔵野線 東浦和駅 国際興業バス(浦04-3・東浦81・浦90・浦91・東浦02系統) 朝日坂上停留所 |
URL | http://www.saitama-jinjacho.or.jp/shrine/8861/ |
御由緒
社伝によれば、崇神天皇の御代(紀元前97~30年)に出雲大社より勧請したのが創建とされるが、実際には奈良時代(710〜794年)との説がある。
しかし、当社付近では縄文時代中期から晩期の遺跡によって集落の存在が確認されているため、古代祭祀が行われていたのは想像に難くない。
大宮氷川神社、中山神社との関係性が深く、当社を女体社、大宮氷川神社を男体社、中山神社を氷王子社として、三社で氷川神社を構成したとされる。
鎌倉~桃山期にかけては鎌倉北条氏、岩槻太田氏、小田原北条氏ら武家・将軍家の篤い崇敬があり、北条泰時が奉納した三鱗文兵庫鎖太刀(埼玉県指定有形文化財)をはじめ、各種美術品や古文書などが数多く残され、御神宝となっている。
また、1591(天正19)年には徳川家康から社領50石および除地100石が寄進された記録が残っている。
1667(寛文7)年江戸幕府4代将軍・徳川家綱が忍城主・安倍忠秋を奉行として再興させた社殿は、貞享・亨保・寛延・平成と修営され現存している。
1873(明治6)年4月、郷社に列せられた。
大宮氷川神社が武蔵国一之宮とされることから、三社一体説を根拠として当社も一之宮を称し、全国一の宮会に属している。
境内紹介
当社へのアクセスだが、最寄りの鉄道駅はいずれも4km前後離れており、健脚でない限り徒歩圏外。
最も近い交通機関は国際興業バス「朝日坂上」停留所で、所要時間は東浦和駅から15分ほど。
下車後、西を向くとすぐ近くに信号がある。
そこを左折すると100m程先にこんもりとした社叢が見える。
なお、この信号から北に200mほど、宮本1-5付近に石鳥居が一基建っている。
1855(安政2)年の造立で、馬場方面から参詣する人々のために設けられたという。
信号から社叢を目指して進んでいくと、境内の東側を通り見沼代用水に行き着く。
この手前で右折し道なりに歩くと、程なく参道の石段が左手に現れる。
社前を流れる用水上には氷川女體橋が架けられており、その先見沼氷川公園内には後述する祭祀の遺構がある。
石段を上り切ったところに鳥居と手水舎。
社務所脇には不思議な形状の木瘤を持った御神木がそびえる。
犬や熊の顔に見えるなどとして、テレビほか各メディア話題となり有名になった。
しかし、氷川神社と見沼の背景からいえば、筆者は龍神の示現と思いたい。
江戸時代、徳川家綱の命により造替された社殿が現存し、埼玉県指定有形文化財(建造物)となっている。
三間社流造の本殿と、入母屋造の拝殿を幣殿で結んだ権現造。
女体の宮を表すように薄紅色に染められ、淡く輝きを放つ姿は実に美しい。
境内社
拝殿向かって右手に鎮座する龍神社は、見沼の龍神を祀った社。
その境内社は本殿周囲に小祠が点在しているが、ほとんどが祭神不明である。
明示されているのは三社の稲荷神社(宇迦之御魂神)のみ。
各祠の祭神は不明だが、明治神社誌料などに拠れば、神明・宗像・住吉・御嶽・石上・社偶・松尾天津合祀・遥拝所があったことがわかる。
このほか、社地東奥には1862(文久2)年造の三峯山・榛名山大権現碑、1830(文政13)年造の富士山・湯殿山・越立山、秩父・西国・坂東拝礼供養台が安置されている。
磐船祭祭祀遺跡
古くから氷川女體神社では最も重要な祭礼として、神輿を御座船に乗せて御手洗瀬である見沼を渡り、現・芝川第一調整池付近まで渡御する「御船祭」を行っていた。
しかし1727(享保12)年、見沼の干拓によって沼上での御船祭の斎行が不可能となる。
このため社前の干拓地に、見沼に見立てた池を配し、中央に柄鏡形の土壇が設けられ、祭礼場が造営された。
1729(享保14)年9月、神事の形態が改められた「磐船祭」として復活したが、幕末から明治初期頃に廃絶する。
1982(昭和57)年より「祇園磐船龍神祭」として再興され、祭祀遺跡で舟歌や巫女舞が奉納されている。
御朱印
氷川女體神社の御朱印は、拝殿向かって左手の社務所にて受けられる。
初穂料300円。
なお、当社は本太氷川神社が兼務しており、宮司様不在の場合は書き置きが授与される。
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